【書評】『稲村和夫の実学』

著:稲盛和夫(敬称略)
フォーマット:Kindle
デバイス:iPad Air 2


稲盛和夫の実学 1


京セラといえば日本人の誰もが知る会社であることは間違いありません。京セラのすごいところは、創業者の稲盛和夫さんだということを知っていらっしゃるかと言うと、実状そうでもないのが現実です。私は会社で技術職としてうちの製品の現場の人間として働いています。現在勤めている会社の部署では新入社員向けへの現場研修があり、実際に装置や当社の製品に触れてもらう仕事を1週間体験してもらうこととなっています。


この1週間研修のOJT担当を3年連続で担当しており、新入社員に稲盛さんって人すごいんだよ〜。と振っても知っている新人が居なくて残念思いますが大学を出たばかりの新人はそんなもんです。


著者の稲盛和夫さんは化学の専攻であり、奇しくも私も大学は化学専攻という立場であり、ものすごい共感できた。専門的な話はあまり出てこないものの、理系らしいロジカルで理論的、かつ人間性あふれる文章が特徴的です。読んでいて思わず唸ってしまう。稲森さんは赤字だったあのJALを復活させた経営者であり、旧Panasonic創業者松下幸之助と並ぶ世界に名だたる経営者であります。ターゲットとしている20-30代の若い人がうちのサイトで最も多いため今回は稲盛和夫さんの著書『稲盛和夫の実学』をご紹介します。


【土俵の真ん中で相撲をとる】


つねにお金のことを心配すること無く、事業や仕事をすすめることはとっても大切。リスクを回避できるだけではなくて、精神的にも万全となりえるからと稲盛氏は書いています。だから手元にある程度キャッシュを持っておいて、なにかあっても問題のない万全の気持ちで仕事に挑もうよということ。キャッシュを持っておくべきもう一つの理由は、金融機関からの借入は手間も時間もかかるため、手を打つべき好機をのがしてしまう大きな機会損失にもなり得るということです。


これを初めて読んだ時に衝撃を受けました。お金に関わらず果たしてこのような余裕のある気持ちで仕事や日々の活動をできていましたか?と聞かれているようでした。必ずしもそうではなく日々何かに焦っているような気持ちも少なからずあったことは事実。精神的にブレるのが1番良くないですからね。


【セラミック石ころ論】


これは意外と思われる方もしれませんが、自社にある在庫はすべて資産と計上されてしまいます。その分当然売れてようが、売れてまいがその「在庫分」には税金がかかります。だから在庫の増加には気をつけなければいけないし、なによりこの製品はどれくらい回転しているかを厳密にチェックする必要があるということ。極論を言ってしまえば、必要でないもの捨ててしまい、経営体質を筋肉質にしなければダメですよと稲盛氏は本書で強調しています。


この話を新人にすると、在庫はいっぱいあってすぐに客先に出せれば良いのではないか?と思っている人も少なくないようです。実はそう簡単ではなく、何年も眠っている在庫は棚卸ししてしまえば資産となって費用が増加してしまう。だから無駄が出るとそれだけ利益が減ってしまうことをこのケースで説明しています。


あとがき


稲盛和夫氏のすごいところは化学のエンジニアで会計学など知らなかったにも関わらずここまで合理的な仕組みを作り上げたところにあります。理系は技術があれば良い。会計はそれとなく知っていればいいと思う人も少なく無いと思いますが、文系理系関係なく、会計(finance)に関する考え方は社会人として常に頭にいれておくべきと思います。


本書では製造業を主として活躍されてきた、稲盛さんの堅実で合理的かつ活力に満ちた考え方に触れることができます。とても1998年という今から20年以上前に刊行された書籍であり、多くのビジネスマンに読まれております。良書ですので一読をおすすめいたします。