ジーンズのアイデンティティの1つとも言える、「リベット」。英語ではrivetと呼ばれ、金属製の鋲を一般に指すことが多く、ジーンズにおいては主にフロントポケットの2つと、コイン(ウォッチ)ポケットへ計6箇所使われるのが一般的なジーンズの基本的な形となっています。
リベットはもともとジーンズの補強のため
リベットはポケットの裏布(スレーキ)やコインポケット、バックポケットなどジーンズ本体の布地に別布を装着するときの補強として使われていました。現在バックポケットはスレッドの閂止めで補強している場合がほとんどです。
ジーンズが誕生した100年以上前では、現在のようなポリエステル製などの強力な化学繊維がなく、あくまでも実用の意味があってリベットを採用していました。その名残が今も続いてるわけです。
余談ですが、G-ジャンと呼ばれるトラッカージャケット(リーバイスでは1stタイプで)でもリベットは用いられてきました。時代とともに、3rdタイプの立体裁断を採用したトラッカージャケットにはあまり使われていません。
しかし前述のような閂止めなどのステッチ技術や糸の強度が増加した昨今、現在はジーンズのアクセサリーや特徴としての意味合いが強く、あえてリベットを採用せずに閂止めを採用しているジーンズもあります。
ジーンズのリベットの多くは銅製
ジーンズに採用されるリベットは銅(Copper)を原材料とするものがほとんどで、原料自体にアルミニウムやステンレス等製を採用するものもあるそうです。銅を採用した理由として、やはり鉄と比較して銅はイオン化傾向が小さく錆びにくいことが挙げられるでしょう。
(※銅は空気や水中の硫酸イオンと結合し、緑錆と呼ばれる硫酸銅を生成してターコイズブルーに変色してしまうこともありますが、鉄と比較しても劣化は少ないため銅が採用されるのでしょう。)
ビンテージ加工を施しているジーンズなんかだと、わざとリベット自体を黒ずんだものを採用したり、銅を塗料でターコイズブルーに塗りビンテージの雰囲気を出している加工も存在し、サビ自体も悪い意味として取られていないのがジーンズのとてもおもしろい文化でもあります。
リベットについて注意点
ちなみにリベットは金属なので、金属アレルギーをお持ちの方は要注意です。肌に触れる確率は低いとは言え脱着の際に触れる可能性はあります。また、リベットの数は必ずしも6つとは限らず、モデルによってはバックポケットにも採用しているモデルもあります。
バックポケットにリベットを採用した場合金属むき出しなので、座ったり寄りかかったりしたときにものを傷つけてしまう可能性もありますので、ご利用のシーンをよく考えましょう。
あとがき
布や糸の強度面からも技術的にも不要とも思われているリベットですが、デニムのブルーとオレンジのリベットという組み合わせは「これぞジーンズ」というデザインを表現していて、私がとても気に入っているディテールでもあります。リベットの強度は抜群なので、もちろん実用面の向上という役割は今後も担っていくはずですからね。