iPhoneやiPadには、2次電池のリチウムイオンバッテリー(リチウムイオンポリマー電池)が内蔵されています。リチウムイオンバッテリーの特性としてLiリチウムは一族の金属なので、起電力が高いことが特徴です。起電力は約3.7Vと高く、メモリ効果も少ないため頻繁に充放電を繰り返すスマートフォンやパソコン、電気自動車等にも利用されています。
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リチウムイオンバッテリーについて
まずはリチウムイオンバッテリーの性質や原理、充電に関して書いていきます。
iPhoneやiPadのバッテリーは継ぎ足し充電OK
結論として、iPhoneのバッテリーは継ぎ足し充電してもほとんど問題ありません。寿命はバッテリーの「サイクル」でほぼ決まります。バッテリーの寿命を理解する上で、「サイクル」というキーワードがあり、下記の例のように「100%分の電池を消費・充電することを1サイクルとする。」という考え方です。
例:100%→25%→100% (75%消費+充電) →75%→100% (25%消費+充電)・・・合計100%の充放電でこれが1サイクル
引用:https://www.apple.com/jp/batteries/why-lithium-ion/
また、iPhoneのバッテリーに関しては、500サイクルで80%の性能となるように設計されているようです。iPadは1000サイクルのようです。
iPhoneのバッテリーは、フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80パーセントを維持できるように設計されています。1年間の製品保証にはバッテリーに不具合があった場合のサービスが含まれています。保証期間を過ぎている場合はAppleのバッテリーサービスを利用できます。価格と規約は変更される場合があります。
引用:https://www.apple.com/jp/batteries/service-and-recycling/
リチウムイオンバッテリーでは正極にコバルト酸リチウムLiCoO2などを用いて、負極では炭素Cを用いていており、電解液として有機物が用いられています。リチウムは1族のアルカリ金属です。リチウムイオンLi+は1価の陽イオンで非常にエネルギーが大きいことが特徴であり、放電時はリチウムイオンLi+が正極に移動し、充電時にはリチウムイオンLi+が負極に移動することで充放電します。
iPhoneやiPadのリチウムイオンバッテリーの寿命を延ばす使い方
完全放電 (バッテリーが0%の状態)をして長時間放置しない
リチウムイオンバッテリーは上記のように化学反応を利用した製品です。完全放電をしてしまうと、反応系のリチウムイオンが正極側にほぼ全て移動した状態となっています。
この状態が続いてしまうと、正極側に入り込んだリチウムイオンLi+の移動が鈍くなってしまうことで、Li+の移動量が減少し、バッテリー自体の性能の劣化に繋がります。そのため、バッテリーが0%になったら早めに充電を行ってあげましょう。同じ理由でしばらく使っていないiPhoneもたまにはバッテリーの残量をチェックしてあげることも大切です。
月に1回くらいは完全充電→完全放電→完全充電のサイクルを行う
月に1度程度完全に充電した後に、完全に放電するサイクルを行った後に完全充電させましょう。これにより、電池内のリチウムイオンLi+をほとんど移動させてあげることで、バッテリーをリフレッシュさせることができます。ただしこれはバッテリーの対しても負荷が大きいため、月に1回くらいでいいでしょう。通常の使用では前述の通り、継ぎ足し充電で構いません。
参考文献:トコトンやさしい電気自動車の本 第2版 (著:廣田 幸嗣 出版:日刊工業新聞社)
あとがき
リチウムイオンバッテリーは劣化も少なく、エネルギーの大きな電池なので現在非常に広い用途で利用されています。もちろん、経年劣化は避けられませんが正しく原理を理解すると少しでも寿命を伸ばすことができます。