本エントリーでは、Mac(パソコン)のスペックに関して説明していきたいと思います。前職では多少パソコンのハードに関する知識は必要であったことと、Macを6年間で4台(MBA, MBP, MB, iMac 5K)使ってきたのでMacに関して説明します。
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本エントリーのScope
●CPU
●メモリ (RAM)
●ディスプレイ
●ストレージ
●グラフィック
CPU
Appleが販売しているMacには米Intel社のCoreシリーズまたは、Xeon、Appleが設計したMシリーズが搭載されています。CPUの役割はパソコンの処理速度全般を担う頭脳であり、マシンのパワーでもあります。CPUの性能を表す数字としてクロック数、コア数とプロセスルールが挙げられます。
クロック数 Hz
クロック数は周波数のSI単位“Hz”で表現され、パソコンのスペックに表に必ず明記されています。例えば2.3GHzとあれば、「1秒間に2.3億回のクロック動作で演算ができる」プロセッサーという意味になります。基本的に周波数が高いほどマシンとしてのパワーは大きく、高速で処理ができます。
引用: https://support.apple.com/kb/SP690?viewlocale=ja_JP&locale=en_US
“ターボブースト”とはコアの一部を休ませて、動作コアのクロック数を上げて一時的にパワーを上げるテクノロジーです。
コア数
コア数もCPUの性能を決める大きなファクターです。デュアルコア(2コア)、クアッドコア(4コア)などの呼び方がありCPUのコア 数が大きいほどスレッド数が増えるのでバソコンのマルチタスクに強くなり、マシンパワーが上がります。
下記に示したのは、Macのコア数の例です。
●デュアルコア(2コア): MacBookやMacBook Pro 13インチ、iMac 21.5インチ下位モデル
●クアッドコア(4コア)のCPU: iMac 4KやiMac 5K、MacBook Pro 15インチ
●6コアから18コア(Xeon): Mac Pro、iMac Pro
CPUの性能はGeekbenchでベンチマークが取られ、モデルイヤーごとにスコア化されて公表されておりマシンパワーの比較や目安がわかります。
ハイパースレッディング技術
IntelのCoreシリーズにはハイパースレッディング技術が搭載されています。従来のCPUではコア1に対して1スレッドで動作していました。例えばデュアルコアCPUは画像のように2つのコアで2スレッドで作動していました。
IntelのCoreシリーズのCPUではハイパースレッディング技術を使い、1つのコアをOS上では2つのコアと認識させることで、1つのコアあたり2スレッドで仕事をさせる技術を搭載しています。これにより、1つのコアあたりの仕事量が増えるのでCPUの性能を上げることができます。
プロセスルール
CPUの性能を説明するのに欠かせないもう1つのファクターがプロセスルールです。簡単に言うと、CPUなどの半導体の電気回路の太さを意味します。
このプロセスルールは小さい方が同じチップの面積に対してより多くのトランジスターを配置できるため、プロセスルールが小さいほどCPUの性能が向上します。また、配線距離を短くし伝達ディレイ時間を短くすることも狙いとなっています。
Intel Core第1世代が45nmであり、Core第8世代の“Coffee Lake”では14nmのプロセスルールのCPUを採用しています。大幅にシュリンクしていることがわかり、CPUは10年ほどの間に着実に性能が上がっています。
※回路の幅が小さくなると、コンタミネーションに厳しくなります。コンタミは回路のショートなどのトラブルが起こりやすくなり、歩留り低下に繋がります。
メモリ (RAM)
メモリの仕様について
メモリはRAM (Random Access Memory)と呼ばれ、揮発性メモリの1種です。パソコンの起動中アプリケーションの一時的なデータの置き場として主に利用され、単位はGBです。
下記画像がメモリの仕様の例です。8GBのように容量が仕様に表紙され、容量が大きいほどマルチタスク向けです。また2400MHzなどの動作周波数は、周波数が高い方がアクセスが高速となります。DDR4が17年11月現在市販されているメモリの中では最も高性能となります。
引用: https://www.apple.com/jp/imac/specs/
メモリの使用イメージ
メモリの使用イメージは、テーブルをイメージするのが良いかと思います。メモリは、OSなどのシステムやアプリケーションで利用され消費されます。使用途中に数多くのアプリケーションを立ち上げたり、重いファイルを立ち上げると、図の右のようにメモリからあふれた分がSSDの中で仮想メモリとなります。
仮想メモリが発生することをスワップ(交換するの意味)と良い、仮想メモリの方がメモリより速度が遅いのでMacの速度が遅くなります。そのため、パソコンの速度低下を防ぐためには、仮想メモリを少なくする—>十分必要なメモリの量があることが理想です。
具体的にはMacでは最低8GB、理想は16GB以上あると快適に利用できます。macOSは高速化のためにメモリをある分だけ利用する傾向があるためです。また、PhotoshopやIllustrator、動画や写真の編集をする方は16GB以上あるのが理想でしょう。
Macのメモリの使用量は、“Activity Monitor”のアプリで確認できます。画像は16GBメモリ搭載の私のMacBook Pro 15インチの画面です。
16GB中13.15GBがアプリやシステムとして、2.7GBがキャッシュとして利用されています。スワップは0.59GBとなっています。物理メモリ16GBに対して、スワップ(仮想メモリ)が0.59GBと少ないため余裕があります。
※ECCメモリに関しては説明を省いています。
ディスプレイ
ディスプレイは液晶解像度が広いほど表示できる情報量が多くなります。視覚的に表現するために、Macで現在販売されている液晶解像度を下記画像で比較してみました。
iMac 5Kが5120 x 2880ともっとも大きな面積をもつことがわかります。ただし液晶解像度は使用する表示解像度と異なり、HiDPIの技術を用いて文字や画像をきれいに表示するものがあります。これをAppleは「Retinaディスプレイ」と呼んでいます。
Retinaディスプレイ
2x2pxで1x1pxを表示してppiを向上させる技術です。Macだけでなく、iPhoneやiPadにもこの技術が使われています。
例を挙げると、iMac 5Kは液晶解像度5120 x 2880を表示解像度2560 x 1440として扱うことで、通常の2560 x1440よりもppiが倍となり、タイポグラフィや画像をより滑らかに鮮明に映し出すことができます。
ストレージ
ストレージとは、Macのデータの保管庫のサイズです。かつてはHDD (Hard Disk Drive)が使われていましたが、2013年頃からMacはSSD (Solid State Drive)が主流となっています。
CPUやメモリで大きく差別化できなくなった今、SSDがMacで最も大切なパーツと言えます。
SSDの特徴
●読み書きの転送速度が実速度で700Mbpsと高速
●SSDの容量が大きいほど高速
●HDDのような回転部品が無いため、落下等の衝撃に強い
●パーツがコンパクトであるためフレキシブルな設計ができる
●寿命は書き込み回数に依存する
●HDDよりも容量あたりの単価が高い
現在市販されているMacBookシリーズは全て高価なSSDを搭載しています。容量に関しては、用途と価格で相談して決めると良いでしょう。OSなどのシステム関連や頻繁に使うファイルはSSDに収納し、音楽や動画などは外付けのHDDに収納するのも手です。
フュージョンドライブ
iMac 4KとiMac 5Kのストレージに標準で搭載されている技術です。SSDとHDDを組み合わせて1つのドライブとして扱います。
OSやシステムなどのパフォーマンスに関わるファイルや頻繁にアクセスするファイルはSSDに、音楽や写真などのそれほど速度が必要のないファイルはHDDに保存するシステムです。macOSがファイルの振り分けを自動的にやってくれます。
フュージョンドライブのメリットは高価なSSDと値段の安いHDDを組み合わせて、大容量かつ高速のストレージを安く実現できるところです。この技術は2012年よりiMacのみに採用されています。
グラフィック
グラフィックにはiGPU (integrated GPU)とdGPU (discrete GPU)の2種類があります。
iGPU—>CPUに付属する必ず入っているグラフィックで、本体のメモリ(RAM)を利用し、性能はそこそこ
dGPU—>iGPUとは別に入っているグラフィックで、専用のビデオメモリが入っており、iGPUよりもグラフィック処理が高性能でグラフィック負荷が大きいときに使われる。
dGPUのサプライヤーは米NVIDIAか米AMDが提供しており、最近のMacはAMDのRadeonが主流のようです。
私のMacBook Proの場合“Intel Iris pro” (iGPU)とNVIDIAのGeForce GT 750 M VRAM 2GB (dGPU)がインストールされており、Photoshopを起動したり、外部ディスプレイを接続するとdGPUが自動的に起動してCPUの負荷を下げてくれます。
グラフィックは、映像・画像処理などに特化したパーツです。VRAMの容量が大きいほど高負荷の作業ができます。例えばPhotoshopで大容量のRAW画像を処理したり、大容量の4Kの動画を編集する場合に高いグラフィック性能重要になってきます。
グラフィックの作業をメインとするならCPUよりもグラフィックの性能を重視したほうが良いです。CPUはグラフィックを取り扱うのは得意ではないので、dGPUがサポートしてグラフィック処理を行わせるのが適材適所と言えます。
Intel CPUの性能はプロセスルールがシュリンクしても、ベンチマークとしてはあまり変わらずほぼ頭打ちになっているのが現状なので、Macを購入するときはCPUよりもGPU重視の方を推奨しています。
あとがき
Macのスペックを選ぶときには使用用途に合わせて選択したいところですが、PCのスペックは専門用語が多くわかりにくいので本エントリーでまとめてみました。
Macを新規購入するときや、リプレースをする際の参考にしていただければ幸いです。